フレキソ印刷について

フレキソ印刷とは

フレキソ印刷は、版に弾力性のある樹脂版を利用する凸版印刷方式のひとつです。
版には感光性樹脂の樹脂凸版を使用します。

水性インキと相性が良く、いろいろな素材に水性インキを使用して印刷が可能です。
VOCの排出やエネルギー消費を抑えることのできる、環境にもっとも優しい印刷方式です。

水性インキとは

 水を溶媒とするインキです。
 印刷時液状であったインキは、印刷面に印刷されたのち水分を蒸発させて乾燥しますが、その際、溶媒が水であるため、VOC成分(Volatile Organic Compounds=揮発性有機化合物=有害化合物)は排出されません。印刷に必要な印刷機の動力消費や、乾燥に必要なエネルギー消費も少なくてすみ、環境に優しい印刷が可能となります。

フレキソ印刷の長所

フレキソ印刷はインキの使用量が少なく、水性インキへの転換も容易で、また、消費エネルギーも抑えられますので、環境にもっとも優しい印刷方式としてシェアは世界で拡大を続けています。特に、厳しい衛生管理を要求される食品包装印刷の分野においては、フレキソ印刷のシェアが上がっています。
 またフレキソは版に弾力のある樹脂凸版を使用し、センタードラムタイプのため、凹凸のある素材や、伸縮素材等の様々な印刷基材への印刷が可能です。
 フレキソ印刷は近年、世界中で最もシェアーを伸ばしている印刷方式です。

技術の進歩によって短所も克服

 従来のフレキソ印刷では、高精細印刷は苦手であるとされてきました。カラー印刷では、その点で問題の少ない「オフセット印刷」などへの需要が圧倒的だったといえます。
 しかし近年では技術が飛躍的に進歩した結果、フレキソ印刷でも高精細印刷が可能となっております。フレキソ印刷の唯一の欠点であった印刷品質の問題が解決することで、環境に優しいフレキソ印刷への需要がますます高まってきているのです。

環境への貢献

印刷やコーティング作業による環境負荷には、まずインキに使用されている溶剤が燃焼装置で燃焼されて、排出されます。

近年日本初の技術で、水性インキを使用して、ようような素材にフレキソ印刷が行われています。フレキソ印刷では、水性インキが実用化され、VOCを排出することなく印刷ができます。

従来から水性インキを使用していた紙への印刷に加えて、フィルムや不織布素材への印刷も水性化の技術が開発されています。

水性フレキソと水性グラビアの差は、水性グラビアのインキの塗布料が、フレキソの倍程度であることです。このため水性グラビアでは、インキの乾燥に、通常より多大なエネルギーが必要となり、環境負荷が増えてしまうという問題があります。

水性フレキソでは、もともとインキの塗布料が少ないために、乾燥に必要なエネルギーも低く抑えられ、印刷速度のスピードダウンもありません。

印刷必要な電気代や乾燥に必要なエネルギー、水性インキや版を作成する環境負荷のトータルで、フレキソ印刷は他方式と比較して大きな優位性があります。

フレキソ印刷について もっと詳しく▼

印刷機と最新技術

印刷機の概要

フレキソ印刷機の最大の特徴が、センタードラム方式です。このため伸縮性の素材や偏肉のある素材にも印刷可能となります。巻出しから巻取りまでの駆動ロールは以下の通りとなります。

  1. 巻き出し
  2. インフィードロール
  3. センタードラムでの多色印刷
  4. チルロール(アウトフィードロール)
  5. スタックユニットによる裏面への印刷と乾燥
  6. 巻取り

印刷ユニット部

印刷ユニット部は、アニロックスロールに接するドクターチャンバー内を流れるインキをドクターで掻き落とし、アニロックスロールのセル容量に従った一定量のインキを版シリンダー上の版の凸部表面に転移させます。

さらに版の凸部から印刷素材にインキを転移させて印刷します。

アニロックスロール

アニロックスロールの表面は下記の様に、蜂の巣状のセルが彫ってあります。
金属ロールの表面に、セラミックを溶射し、レーザーにてセルを彫刻します。

近年は、セル容量を確保して、十分なインキ濃度を確保しながら、高線数化が進んでいます。

両面印刷

センタードラムで多色印刷を行った後に、スタックユニットで、裏面に印刷・コーティングができます。表裏の見当合わせができ、裏面印刷は必要な部分のみに印刷ができます。

製版技術

CTP(Computer to Plate)版により、フィルムを使用しないで版を作成。版のべた部や網点部にいろいろなパターンを彫ることで、印刷品質が向上し、高細線の印刷が可能です。近年環境負荷を減らすために、水現像の版が実用化されています。